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【内部告発】まるでナチスの監視「松本問題に触れてはいけない」在京テレビ局員が明かす内情

『ありがとう、松ちゃん』より

■「疑わしき者は、すぐに切り捨てる、蓋をする」が常套に

 しかし、昨年12月末、松本さんは自身が築き上げてきた、その王座から瞬く間に陥落することになります。松本さんの性加害疑惑に関する報道が出た際の現場の雰囲気ですが、激震や戦慄が走ったとか、そんな動揺は表向きありませんでした。いっさいなく、波風がなく、みんな冷静で、落ち着いた凪のような感じでした。ただ内心みんな今後どうなってしまうのか不安だった。 

 松本さんが後輩芸人のアテンドで一般女性たちと、夜な夜なホテルのスイートルームで合コンを開催している。ああ、その噂か。以前もテレビマンたちとの飲み会の場で聞いたことあったなと。ついに、松ちゃんも文春砲の標的になってしまったのかと。

 たとえば、ベッキーさん、アンジャッシュの渡部建さん、広末涼子さんなど、これまでにも文春砲で地上波から消えたタレントさんたちの前例がありますから、いまの世の中、天下の松本さんといえども例外ということにはなりません。疑惑の段階とはいえ、いまのテレビはある意味、思考停止していて、スポンサー企業とクレーマー体質の口うるさい視聴者のリアクションにすべて委ねられていて、それが上層部の判断基準です。

 だから、現場にいる人間としては、性加害疑惑が浮上した時点で、松本さんは、テレビから消えることになるんだろうなということは容易に想像できました。松本さんも吉本もいまのテレビのそうした「疑わしき者は、すぐに切り捨てる、蓋をする」という体質については、十分に理解していたはずです。だから、報道後に、松本さん、吉本のほうから、各テレビ局に対して「記事をめぐる訴訟に専念するため、芸能活動を休業する」と通達してきたのだと思います。

 このときのテレビ局の上層部たちの本音としては、「松本さん、吉本さんがそう言うのだから、われわれがとやかく言う必要はない。あくまでも彼らの判断に従うだけ。松本さん、吉本さんに番組を降板してもらう理由について、わざわざ説明する手間が省けたので、ラッキー」くらいにしか思っていないですよ。そして、わたしたち現場の人間たちは、上層部の決定に対して、流れ作業のように、ただただ粛々と従うだけでした。

「松本さんは、テレビ局にとって大変な功労者なんだから、なんとしても地上波に復帰させよう!」と思っているテレビマンなんて、いまの時代、皆無でしょう。少なくともキー局の社員で、そんなふうに思っている人は、ひとりもいないと思います。

 リスクをとってまでして、尽力する、仁義を通すという熱血漢タイプのテレビマンは、すでに絶滅危惧種。昭和、平成初期のころまでは、そういうタイプもある程度、局長レベルに出世することができても取締役にはなれない感じで存在していました。いまの上層部の連中は、その真逆というか、いかに決算書の数字をよく見せるかということしか頭にない、損得勘定でしか動かない、コンサル脳に侵された奴らばかりなんです。

 上層部は諦めモードです。テレビの放送事業の売上、つまり、テレビCMによる広告収入がネット広告に逆転され、その売上が今後V字回復するなんて、絶対にありえない。コンサルティング会社からの入れ知恵もあり、できるだけ番組制作費を抑えて、とにかく当たり障りのない人畜無害な番組をつくっていき、広告収入の売上減に関しては、当面は所有している不動産を事業化して、それで自分たちが在籍している間はどうにかこうにか食いつないでいくけど、オレたちが退職したあとのことは、残った人間で考えてくれって、いまの上層部は、みんな、そんな感じですね。

 また、キー局は上場企業でもあります。近年、異様なまでにコンプライアンスが求められるようになり、さらに上層部は、これに敏感に反応するようになったことも松本さんの地上波の復帰に向けては、大きな足かせと言えるでしょう。

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